蕩ける愛であなたを覆いつくしたい ~最悪の失恋から救ってくれた年下の同僚に甘く翻弄されています~
 昼食調達にコンビニに行った帰り、外回りに出かけるところの浅野くんとばったり会った。

 「あ、浅野くん、ちょうど良かった」
 「なんですか」

 わたしはきょろきょろと辺りを見回し、誰もいないことを確認してから話しはじめた。
 
 「今夜って、なにか予定入ってる?」
 「いえ、特には」
 「夕飯作ってごちそうしたいんだけど。何かリクエストある?」
 「うーん、そうですね。梶原さんの得意なもんでいいですよ。何を作れるのかわかんないし」
 「それもそうだね。じゃ、そのつもりで。でも急な予定が入ったら遠慮なくキャンセルしてね」

 「いえ」と彼はそこで一旦言葉を止めた。

 それから少しだけ首を傾けて、わたしの耳元に近いところで囁きかけてきた。
 「キャンセルはありえません。梶原さんとの約束は最優先事項ですから。楽しみにしてますね」
 「えっ? またまた、そんなこと言って」

 浅野くんはそれには答えず、笑みだけを残して「じゃ、行ってきます」と立ち去っていった。
 
 
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