蕩ける愛であなたを覆いつくしたい ~最悪の失恋から救ってくれた年下の同僚に甘く翻弄されています~
 宣人と別れて、たった1週間しか経っていないから、節操のない女と思われるのが怖くて、気持ちが表せなかっただけで。
 
 それでも、彼の唇が軽く触れたとき、わたしは思わず身をこわばらせて身体をそらし、言った。「だめ」と。

 ゆっくり目を開けると、浅野くんが切なげに眉を寄せていた。

 「俺じゃだめ?」

 わたしは大きく首を振った。

 「そうじゃない。本当にわたしなんかでいいの? あなたにまったくふさわしくないのに。3歳も年上だし。浅はかだし。打算で宣人と付き合ってた。あの人の彼女だという優越感を捨てられなくて、それにしがみついて……」
 
 彼は指を立て、わたしの唇に触れた。
 「もう、何も言わなくていい」

 手がわたしの肩を優しく引き寄せる。
 「愛してる」
 「浅野……くん」

 その言葉ごと飲み込むように、彼は唇を重ねてきた。
 軽いキスを何度も繰り返しているうちに、わたしの身体から力が抜けていった。

 「ずっと欲しかった、あなたが」
 そう囁き、また口づけを交わす。もっとずっと深いキスを。

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