蕩ける愛であなたを覆いつくしたい ~最悪の失恋から救ってくれた年下の同僚に甘く翻弄されています~
 正美は自販機でカップのレモンティーを買ってくれた。

 「これ飲んで、落ち着いて」
 「ありがとう」

 甘酸っぱいレモンティーは動揺するわたしの心を少しだけ鎮めた。

 「で、どうした?」
 「わたしのせいで浅野くんが……辞めさせられるかもしれない」
 「宣人がなんか企んだってこと?」
 「たぶん……浅野くんが情報漏洩したって聞いたけど」
 「そっか。でも、それなら浅野氏が「白」だってこと、すぐ判明するんじゃない? 社長の目は節穴じゃないよ。とにかく待つしかないよ」
 「うん……」
 冷静な彼女の言葉に頷きながらも、わたしはまだ納得しきれず、ぎゅっと唇を結んだ。

 午後始業のチャイムが鳴った。
 彼女はわたしの肩をぽんと叩いて「戻ろ」と立ち上がった。

 部屋に戻ると、宣人もいなくなっていた。
 彼が関わっていることが明らかになった。
 居ても立ってもいられない気持ちのまま、午後を過ごした。

 一樹が戻ってきたのは終業間際。
 わたしの姿を認めると、一樹は軽く手を上げた。
 
 「かずき」わたしは小さく呟き、彼の側に行こうと椅子から立ち上がった。
 
  けれど部の一樹推し女子3人の方が早く、一樹に駆け寄っていった。
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