蕩ける愛であなたを覆いつくしたい ~最悪の失恋から救ってくれた年下の同僚に甘く翻弄されています~
「浅野さん、会社辞めさせられるって、
本当ですか?」
一樹は目をみはった。
「えっ、何? そんな話になってるの?」
「浅野さんが会社の機密を漏らして、社長室に呼ばれたって」
それを聞いて、一樹はああ、と頷き、それから頬を緩めた。
「それ、完全な誤解」
「そうですよね! 誤解ですよね! 浅野さんがそんなことするはずないと思ってたんですけど、でも良かった〜」
彼女たちは口々に安堵のため息をもらし、手を取って喜びあった。
「その件について話すから、みんなちょっと集まってくれるか」と、後から一足遅れて戻ってきた部長が全員に声をかけてきた。
「外部に情報を持ち出そうとしたのは伊川だ。未遂に終わったから実害はなかったが」
部長の話はこうだった。
一樹のめざましい台頭に、部内トップの座が危ないと考えた宣人は、新製品情報を手土産にライバル社への転職を画策していた。
だが、セキュリティを強化していたこともあり、データは得られず、さらに不正アクセスを試みたことがバレそうになった。
そんな折、宣人が懸念した通り、一樹が自分を追い越してリーダーに抜擢された。
そこで宣人は一樹に不正の濡れ衣を着せ、自己の保身と彼の追い落としの一石二鳥を狙った、というのが事の顛末だった。
あまりにもお粗末かつ身勝手すぎる宣人のやり口に、そこら中でため息がもれた。
本当ですか?」
一樹は目をみはった。
「えっ、何? そんな話になってるの?」
「浅野さんが会社の機密を漏らして、社長室に呼ばれたって」
それを聞いて、一樹はああ、と頷き、それから頬を緩めた。
「それ、完全な誤解」
「そうですよね! 誤解ですよね! 浅野さんがそんなことするはずないと思ってたんですけど、でも良かった〜」
彼女たちは口々に安堵のため息をもらし、手を取って喜びあった。
「その件について話すから、みんなちょっと集まってくれるか」と、後から一足遅れて戻ってきた部長が全員に声をかけてきた。
「外部に情報を持ち出そうとしたのは伊川だ。未遂に終わったから実害はなかったが」
部長の話はこうだった。
一樹のめざましい台頭に、部内トップの座が危ないと考えた宣人は、新製品情報を手土産にライバル社への転職を画策していた。
だが、セキュリティを強化していたこともあり、データは得られず、さらに不正アクセスを試みたことがバレそうになった。
そんな折、宣人が懸念した通り、一樹が自分を追い越してリーダーに抜擢された。
そこで宣人は一樹に不正の濡れ衣を着せ、自己の保身と彼の追い落としの一石二鳥を狙った、というのが事の顛末だった。
あまりにもお粗末かつ身勝手すぎる宣人のやり口に、そこら中でため息がもれた。