プラタナスの木陰で
「汐里さん?」知基くんが追いかけてきて、あたしの手を掴んだ。
「離して!」あたしの目からはいろいろなことがあった皺寄せの涙が流れていた。
「わたしあばずれだって大学でいわれてるのしらないんでしょ?!」私は、わぁぁぁ、わぁぁぁ、と声を出して泣いた。
「汐里さん」私がそのまま暴れていると、がばっと知基くんに抱きしめられた。それはとてもとても、深い囁き声だった。
「聞いて?……知ってましたよ。でも、汐里さんにとっては僕は聡明で品のある女性で。そう見えると言うことは、僕にだけその姿を見せてくれているということなんですよ。
だから、僕を信じて?」その深い声に、あたしは安心して、うんと言って、知基くんを抱き返した。
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