デス・ドール
☆☆☆

それから私達は公園を出て近所の表札を確認していくことにした。

とはいえ、この辺りはほとんどが空き家になっているため、人目を気にする必要はなく、作業はスムーズに進んでいく。

「でも、1人でよく逃げ切れたね。私だったら、途中で諦めてたかも」
綾がため息まじりに呟く。

「私だって必死だったから逃げられただけだよ。スプレーがなかったら、今頃どうなってたかもわからないし」

そう答えてから、あのとき出窓にスプレーがなかったらどうなっていたのだろうと想像し、全身が寒くなった。

ピエロはサッカーボールをズタズタに切り裂いていたから、自分もあんなふうになっていたかもしれないんだ。

「飯島って表札があるぞ!」
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