デス・ドール
少し先を歩いていた竜二が大きな声を上げたので、私達は駆け寄った。
木製の表札には確かに飯島と書かれている。

家は廃墟で壁にも玄関ドアには蔦が絡みついていて、小さな庭は草が生え放題だ。
「こっちに窓がある」

竜二が草を踏みつけながら庭へと入ってく。
私達はその後ろをついて歩いた。

「窓ガラスが割られてる。誰かが勝手に入ってるみたいだ」
健太が乱暴に割られた後のあるガラス窓を見て言った。

そこから中を覗いてみると、白い壁には色スプレーで落書きされているのが見えた。
「廃墟になってるからってこんなことするなんて、ひどい」

綾が顔をしかめている。
この辺りは空き家が多いから、不法侵入者も多いんだろう。
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