デス・ドール
と、竜二が途中で言葉を切った。

どうしたのかと思っていると、さっきまで聞こえてきてい周囲の喧騒が聞こえなくなっていることに気がついた。

そして聞こえてくるのは、あの音楽だ。
ピエロのカラカラという車輪の音が近づいてくる。

道路の奥から姿を見せたソレはあっという間に距離を縮めてきた。
「出た!!」

健太が叫んで逃げようとした、その時だった。
不意に周りの景色が変化して私達はその場から動けなくなってしまった。

目の前に出現したのは見知らぬ家の中の様子だったのだ。
6畳くらいのフローリングに白いテーブルと勉強机や本団が見える。

部屋のすみには畳まれた布団も見えた。
けれどどれもがなんとなく大きく感じられるのは、見ている視点が低いからなのかもしれない。
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