デス・ドール
3人は和気あいあいと会話をしながら食事を勧めていく。
『中学校はどうだい?』

『楽しいよ! だけどお弁当の時間になるとちょっと憂鬱なんだよね』
父親との会話の中に違和感があったが、口を挟もうとしてもできなかった。

私自身が今見ている映像に干渉することはできないみたいだ。
『あら、どうしてお弁当の時間が憂鬱なの?』

母親の声が心外そうに聞こえてくる。
きっと美月ちゃんのお弁当を作っているんだろう。

『だってお母さんのお弁当いつも大盛りなんだもん! それで私全部食べちゃうから、みんからビックリされるんだよねぇ』

美月ちゃんの言葉に食卓に笑いが生まれる。
とても幸せそうな家族団らんの時間だ。

なんの問題も、不満もないように見える。
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