デス・ドール
「きゃあ!?」
思わずベッドの上に飛び起きていた。

心臓は早鐘を打ち、全身汗でびっしょりだ。
額に浮かんでいる汗を手の甲でぬぐって私、柴原千夏はため息を吐き出す。

ピエロの人形に追いかけられるという、すごくリアルな夢だった。
出窓へ視線を向けると前の休日に古物市で購入したピエロの人形がある。

足の部分がタイヤになっていて、ネジを回せば音楽をかなでながら移動するものだった。

普段は可愛い動物のぬいぐるみにばかり興味があるんだけれど、このピエロを見た瞬間目が離せなくなってしまった。

それからなんだか導きられるようにして、購入してきたんだ。

古物市だからタダ同然で購入してきたそれをよく観察してみると、ピエロの背中の衣装をはぐと飯島とマジックで名前が書かれていた。
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