デス・ドール
きっと、元の持ち主の名前なんだろう。

お人形やおもちゃに名前を書くのは自分も子供の頃によくやったからわかるけれど、このピエロの人形が特別好きだったということなんだと思う。

心臓が落ち着いてきたので再びベッドへ横になろうとした、そのときだった。
ふと出窓へまた目を向けると、そこにいたはずのピエロがいなくなっていたのだ。

「あれ?」
目をこすってよく見てみようとしたそのとき、ピエロの音楽がすぐ近くで聞こえてきた。

音をたどって恐る恐るベッドの下を確認する。
真っ暗闇でなにも見えない。

音楽が近づいてくるにつれてその中に2つの白い目が浮かんできた。
ピエロの人形が月明かりに照らされて、ニタリを笑った……。
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