デス・ドール
そう言われて私は昨日懸命に声をあげたことを思い出した。
「それはきっと、他の人たちには見えていないからです」

どれだけ叫んでも誰からも反応はなかった。
ピエロが出現している間には自分たち以外にはいなくなっているんだ。

「私達はきっとピエロの世界に入り込んでいるんだと思います。だから他の人たちの姿を見ないし、声を上げても誰も反応してくれなかったんです」

懸命に説明するけれど、先生の反応は鈍い。
しきりに腕時計を確認して、時間を気にし始めていた。

「わかった。そいういうピエロがいるってことだな」
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