デス・ドール
☆☆☆

これほどまで信じてもらえないものなのだと落胆して教室までの階段を上がる。
「仕方ないよ。誰でもこんなこと信じないから」

綾が落ち込んでいる私を気にして励ましてくれるけれど、ため息がこぼれてしまう。
「先生に相談すればなにか解決のヒントを貰えると思ったんだけどなぁ……」

そもそも信じてもらえないのだから、助言だってしてもらえない。
先生の言う通りこれが怖い映画の影響で見ている夢ならよかったのに。

肩を落として教室へ戻ってくると、竜二と健太はすでに戻ってきていた。
ふたりに近づいていくと机の上に4本のバッドが置かれているのが目に入った。

「貸してもらえたんだね」
綾が明るい声で言う。

健太は頷いて、そして竜二へ視線を向けて笑った。
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