デス・ドール
「そうだよ。あの大きな山が見えるだろ? その麓あたりにたる小さな公園だ」
「あの山の近くなんですね?」

それならここから歩いて行くこともできそうだ。
そう思っていたのだけれど。

「さ、帰りましょう」
沢山の袋を手に下げたお母さんが満足そうに言ったのは昼前のことだった。

時刻は11時を少し過ぎたところで、今から車で家に戻ればお昼には到着する。
「え、もう帰るの?」

これから公園まで行こうと思っていた私はつい声をあげてしまった。
「お昼は家で食べることにしたんだ。お金を使いすぎたからな」

お父さんの手にも沢山の袋が握られている。
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