侯爵様の愛に抱かれて。〜大正溺愛華族譚〜
「貴様ならそう言うと思ったよ。なら、今日の夜はそこで夕餉としようか」
「……あ、ありがとう、ございます。ちなみにどのような料理屋なのでしょうか?」
「華族御用達の料理屋で芸者もよく来る店だ。貴様の父親も常連の1人だ」
「え、私の父親が……」
(もしかして妾もあの店で知り合っていたりするのだろうか?)
「もし、貴様の父親がいたら貴様と俺が結婚する事を話そうと思う」
「あ、でも父親はしばらくは屋敷には戻らないって……」
「あの店には顔を出すだろうな。かなり気に入っているだろうから」
(そうなんだ……)

 その後。葉子は紀尾井坂の屋敷で正則と共に昼食を取った。彼女の私物は全て回収され、自室である広間に置かれたのだった。
< 15 / 52 >

この作品をシェア

pagetop