侯爵様の愛に抱かれて。〜大正溺愛華族譚〜
「葉子が紀尾井坂家へ嫁ぐ事になった事でこちらも決心しました」

 いきなりの子爵の言葉に、正則と葉子、ゆみが一斉に彼へと顔を向けた。

「私は今の奥方と離縁します。そしてゆみを新たな奥方へと迎えます」
「大波子爵……!」

 ゆみは勿論、葉子と正則もまた驚きと嬉しさの表情を見せた。ゆみは口をぱくぱくとさせながら涙を流す。

「子爵様……良いのですか?」
「ああ、もう決めた。それと葉子。あのような扱いを強いてしまい、今更許してくれとは言わない。せめて幸せになってほしい。援助できる事があったら構わず言ってくれ」
「……お父様」
「ああ、大波子爵。勿論出来る限り援助はしてもらいたい。それと2人には結婚式に来る事を許可しよう」

 その後は月子も集い、結婚式の日取りや打ち合わせが食事をしながら行われた。

(牛鍋すごい美味しい。甘辛でもっとお肉硬いかと思ってたけど全然そんな事ない)
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