侯爵様の愛に抱かれて。〜大正溺愛華族譚〜

第3話

 舞踏会に向け、葉子はドレス姿にドレスアップする。

(うわ……どきどきするなあ)

 白い色に長袖で首元もつまったドレスにはふんだんにフリルとレースがあしらわれている。胸元や後ろの腰付近に配置されているリボンにも細やかなレースがついている。葉子は思わず見とれてしまうくらい華やかなものだ。

(腰回り結構締めるんだな。でも着物よりかはましだ)
「奥方様、いかがですか?」
「ああ、大丈夫です」

 葉子がドレスを着用した後はお化粧と髪結いが待っている。彼女の髪はいつもとは違ってドレスに合うようなものにしてもらった。三つ編みを作ってお団子にするこの髪型。これはこれでありだ。と葉子は考えたのだった。

「奥方様。出来上がりました」

 姿見で自分の姿を確認する葉子。彼女の表情には驚きがこれでもかというくらいに浮かび上がっていた。

(これが私……? なんだか信じられない。華やかできれい……)

 華やかに着飾った葉子は同じくシルバーの華やかなスーツにハットを被った正則と共に人力車で洋館へと向かっていった。
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