侯爵様の愛に抱かれて。〜大正溺愛華族譚〜
 2人は何度かダンスを踊った後洋館を出て、人力車に乗って屋敷へと戻った。

「ダンス、習いに行きたいですね」
「あの洋館では令嬢達が集まってダンスや英語などの習い事をしている。葉子も行ってみてはどうか?」
「いいのですか?」
「勿論」
「では……通ってみます」

 屋敷に戻った葉子と正則は洋装から和装に着替えた。葉子は髪も結い直し、昼食を取る事にする。

「せっかくだ。洋食にするか?」
「ぜひ!」

 カツレツ。それに付け合わせの野菜にたくあんとご飯にスープが食卓に並ぶ。

「頂きます」
「カツレツ食べるのははじめてか?」
「あまりを少しつまんだくらいなら……」
(綾希子さんは洋食も好きでよく食べていたな……)

 葉子は美味しそうにカツレツを頬張る。その様子を正則は愛おしそうに見つめていたのだった。

「ごちそうさまでした。とても美味しかったです」
「今度洋食屋に行ってまた食べに行くか? 知っている店があってな」
「よろしければぜひ」

 食事を終えた葉子はしばらく一休みしてから自室に戻り正則が葉子に渡した教科書とにらめっこしたのであった。
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