侯爵様の愛に抱かれて。〜大正溺愛華族譚〜
「そうだったのですね。実際そのような事件は時々ありますし、ここにそのような患者が運ばれてくる事もあります」
「そうなのか……」
「紀尾井坂様はぜひ奥方様の元にいてやってください。その方が良いでしょう」
「わかった。では部屋に向かう。ありがとう」
「いえいえ。出来る事をしたまでですので……」
葉子が運び込まれた病室は華族専用の病棟にある病室で個室である。彼女が目を覚ましたのは夕方の事だった。
(ここは……?)
「あ……」
葉子が目を覚ましたのを、正則や病室にいた看護婦も次々に気が付いた。
「葉子さん! 気がつかれましたか?」
「葉子! 気が付いたか?」
「あ……私は……」
(服が浴衣になってる。それにまだ脇腹が……)
葉子は少し起き上がろうとしたが鈍い脇腹の痛みを知覚し、そのまま横たわる。
「葉子さん。処置したばかりですので動かない方が良いですよ。傷口が広がってはいけませんし」
「だから痛かったんですね……そのようにします。あの、正則様」
「なんだ?」
「あの後……どうなったんですか? 結婚式は……」
葉子は首を正則の方へと傾けながら、自分が倒れた後どうなったのかと正則へと質問した。
「知りたいか?」
「ぜひ」
「そうなのか……」
「紀尾井坂様はぜひ奥方様の元にいてやってください。その方が良いでしょう」
「わかった。では部屋に向かう。ありがとう」
「いえいえ。出来る事をしたまでですので……」
葉子が運び込まれた病室は華族専用の病棟にある病室で個室である。彼女が目を覚ましたのは夕方の事だった。
(ここは……?)
「あ……」
葉子が目を覚ましたのを、正則や病室にいた看護婦も次々に気が付いた。
「葉子さん! 気がつかれましたか?」
「葉子! 気が付いたか?」
「あ……私は……」
(服が浴衣になってる。それにまだ脇腹が……)
葉子は少し起き上がろうとしたが鈍い脇腹の痛みを知覚し、そのまま横たわる。
「葉子さん。処置したばかりですので動かない方が良いですよ。傷口が広がってはいけませんし」
「だから痛かったんですね……そのようにします。あの、正則様」
「なんだ?」
「あの後……どうなったんですか? 結婚式は……」
葉子は首を正則の方へと傾けながら、自分が倒れた後どうなったのかと正則へと質問した。
「知りたいか?」
「ぜひ」