侯爵様の愛に抱かれて。〜大正溺愛華族譚〜
 その後。子爵はすぐに正妻と離縁し正式にゆみを妻に迎えた。

「なんですか! どうして……!」

 と、正妻は泣き叫びながら困惑しながら大波子爵家の屋敷を追い出されたのだった。
 そして綾希子は逮捕され罪を償う事になった。

「葉子、おはよう」
「おはようございます。正則様」

 葉子の怪我は順調に回復を遂げた。退院日も決まり穏やかに過ごしている。

「お父様がゆみさんと再婚したそうですね」
「ああ、良かった。離縁された元正妻は実家に帰るようだが果たして受け入れてくれるか、だな」
「微妙ですね。確か子爵家でしたっけ?」
「確かそうだったはずだ。それにあの女は当主である兄とは反りが合わないと聞いている。その兄も変わり者だから他のきょうだい達とはほとんど合わないみたいだがな」

 綾希子は罪人として他の有象無象の罪人とは別け隔てなく扱われている。華族の令嬢だからといって特別扱いは無い。
 その方が本人の為には良いだろうと葉子と正則は考えていた。
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