侯爵様の愛に抱かれて。〜大正溺愛華族譚〜

番外編

　結婚式を無事に終え、2か月後の事。正則と葉子の2人は、海が見える別荘に新婚旅行へと訪れていた。

「わあ、綺麗ですね……！」
「そうだろう。ここの海岸は砂浜も波も綺麗で好きなんだ」

　砂浜には既に多くの観光客が押し寄せていた。近くには土産物売りに弁当やおにぎりなどを売る露店もある。
　観光客は海水浴というよりも潮干狩りに来た客の方がはるかに多い。

「ここ、貝がたくさん採れる場所なんですか？」
「そうみたいだな。二枚貝が採れそうな気はする」
「なるほど……」

　露店の中には客が潮干狩りで採れた貝をその場で焼いてくれる店もある。

「露店、行ってみるか？」
「いいんですか？」
「葉子が行きたいなら勿論」
「ではぜひお願いします。私、ああいう露店好きなんです」
「ははっ、なんだか縁日の祭りみたいだよな」

　早速露店に向かう2人。最初に訪れたのは焼けた二枚貝の身を竹串に刺して売っているお店だった。

「いらっしゃい！　アサリ美味しいよ！」

　アサリの貝から身を剥ぎ、丁寧に水洗いしたものを醤油漬けして竹串に何個か刺して焼いている。
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