ドSキューピットさまと恋のお手伝い!
19話 合同ドッヂボール大会!
今日は、一時間目から、体育の授業。
一年一組と二組合同でのドッヂボール大会だ!
扇風機でなまぬるい風をまわしている体育館の中に、体育着に着替えたみんながぞろぞろと集まってくる。
「一組と合同ってことは、天堂くんもいるよね~? あーっ! きたきたぁ!!」
「きゃーっ! 体育着姿も素敵~~っ! おみあしが抜けるように白い~~っ!」
ルカってば、相変わらず、女の子たちから騒がれまくりだなぁ。
彼女がいると公言していても、まだまだ、すさまじい人気ぶり。
盛り上がる女の子たちをぼんやりと眺めていたら、そんな彼女たちを、茜ちゃんがやさしくこづいた。
「こらこら。天堂くんには、奈々がいるでしょう?」
「茜さま!」
「やーん! 茜さまも素敵~!」
「ふふん。これからもっと良いところを見せるよ」
おおお!
さすがはイケメン系女子、茜ちゃん!
茜ちゃんのさりげない気遣いに感動していたら、目の前を水谷くんが通りがかって、ビクッとした。
昨日の今日で、さすがに気まずいよ。
彼の方は、相変わらずの澄ました様子だけれど……あれ?
「うわっ。大丈夫かよ、水谷」
「ああ、ごめん。ちょっと、ぼうっとしていて……」
今、なにもないところで、転んでいたような。
じゃんけんでチーム分けをして、さっそく一試合目。
私の出番は、二試合目だ。
「「天堂くーん!! がんばってぇーっ!!」」
「「鏡見さーーん! ファイト―っ!!」
一組チームには、ルカ王子。
二組チームには、ありさ姫。
それぞれのクラスを代表する、まばゆいばかりの美少年と美少女が集結し、応援隊の熱気も最高潮に!
すごい、しょっぱなからクライマックスのテンションだ!
あっ。よく見たら、二組チームには水谷くんもいるみたい。
「よーい……」
ピーーーッ! という先生の笛の音とともに試合開始!
だけど、始まったとたん、ルカの独壇場~っ!?
陣地内を、風のように動きまわる!
ある時は、驚異の瞬発力で、相手チームのボールをキャッチ!
からの~~、そのまま二組チームを二人連続で仕留めちゃった!
「きゃーーっ! 天堂くん、かっこよすぎ~~!」
その後も圧倒的なボールさばきで、二組チームを次々と外野送りにしていくルカに、女の子たちの黄色い悲鳴もとまらな~い。
「やべーぞ。早く天堂をつぶさねーと、あっというまに負けちまうっ」
二組チームは、早くも大ピンチだ。
っていうか、ルカ、さすがに大人げなくない!?
人間相手なんだから、もうちょっと手加減してよ!
【うるさいな。ボクにも考えがあるの!】
考え?
もう一度、コート内のメンバーに視線をやったら……あっ!
数少ない二組チームの内野には、ありさちゃんと水谷くんが残っていた。
もしかして……ルカは、あえてあの二人を残すようにボールを投げていた?
「さーて。次は、誰を仕留めようかなぁ」
ボールを手にかまえ、余裕しゃくしゃくの笑みをたたえるルカは、軍神アレスさまのごとし気迫。リアル鬼神がここにいるよ!
今までルカの投げた球は、百発百中だ。
二組内の数少ない生き残りメンバーに、緊張の色が走る。
「次は……キミに決めた」
ルカがぴしゃりと指さしたのは――なんと、ありさちゃん!?
ありさちゃんがハッと息をのみ、ルカが大きくかぶる。
その手から、鬼のごとき魔球が、ありさちゃんめがけて放たれた!
逃げようとかまえたありさちゃんも、その手加減容赦なしボールに蒼白になって、一歩も動けないっ。
ああっ!
あのボール、今までとは比べものにもならないほど、速い!
当たったら、洒落にならないぐらい、痛そうッ。
あんなに細っこい身体で受けとめたら折れちゃうよ。
見ているのも怖くなって、とっさに、目をつむる。
そうしたら、視界をとじた暗闇の中で、今まで聞いたこともないほど焦ったような水谷くんの声が響き渡ったんだ。
「ありさっっ!」
バシュンッ!
「俊!?」
あれ……?
恐る恐る、目を見開けば。
「いったたた……。あはは……情けないね。慣れないこと、するもんじゃないや」
「俊っ。俊っ。ねえっ、大丈夫……!?」
荒い息をつきながらうずくまる水谷くんの傍に、今にも泣きそうな顔をしたありさちゃんがよろよろと膝をついている。
水谷くんが、ありさちゃんを庇って、ルカの鬼ボールを受け止めたんだ!
顔の近くでボールを受け止めてしまったのか、コート内に投げ出されたメガネにはヒビが入ってしまっている。
しーんと、体育館全体が水を打ったように、静まりかえった。
誰もがカタズをのんで二人の様子を見守っていたら、体育館内に、派手な笛の音が響きわたった。
「一時試合中止―っ! 水谷くん、大丈夫!? 誰か、保健室まで彼を連れていってあげて!」
ありさちゃんは、だらりと垂れ下がった水谷くんの腕を肩にまわし、張りつめた表情で体育館を出ていった。
二人が体育館をしずしずと出ていったあと。
みんなの時が、再び、動き出す。
「ねえ。さっきの鏡見さん、メガネのこと、名前で呼んでたよね……?」
「ねっ! てかさ、はじめて素顔見えたけど、メガネくん結構イケてなかったぁ~!?」
「ウソ、見ておけばよかった! それにしても、さっきの鏡見さんの剣幕すごかったよね。二人って、もしかして……そーゆー関係?」
話題は、今しがた、去っていった二人のことで大盛り上がり。
今さっき、ルカが人間ではありえない超絶剛速球を放ったことも、うまいこと忘れちゃってるみたい……。
これって、もしかして。
コート内で、穏やかな笑みを浮かべている、ルカに視線をやったら。
【お姫さまをピンチに追いこんでヒーロー演出作戦大成功、ってところかな。ちなみに、大事には至らないように、力の加減は調節しておいたよ】
ぱちりと星がまたたきそうなウィンクを返されて、ドキッと体温が上がる。
そっか。
これもキューピット作戦の一環だったんだ!
まさか、ルカがここまで全面的に協力してくれるなんて!!
嬉しいなぁ。
そうと実感したら、心の内側から、喜びがいっぱいにみちてきて。
思わず、満面の笑みになっちゃった。
一年一組と二組合同でのドッヂボール大会だ!
扇風機でなまぬるい風をまわしている体育館の中に、体育着に着替えたみんながぞろぞろと集まってくる。
「一組と合同ってことは、天堂くんもいるよね~? あーっ! きたきたぁ!!」
「きゃーっ! 体育着姿も素敵~~っ! おみあしが抜けるように白い~~っ!」
ルカってば、相変わらず、女の子たちから騒がれまくりだなぁ。
彼女がいると公言していても、まだまだ、すさまじい人気ぶり。
盛り上がる女の子たちをぼんやりと眺めていたら、そんな彼女たちを、茜ちゃんがやさしくこづいた。
「こらこら。天堂くんには、奈々がいるでしょう?」
「茜さま!」
「やーん! 茜さまも素敵~!」
「ふふん。これからもっと良いところを見せるよ」
おおお!
さすがはイケメン系女子、茜ちゃん!
茜ちゃんのさりげない気遣いに感動していたら、目の前を水谷くんが通りがかって、ビクッとした。
昨日の今日で、さすがに気まずいよ。
彼の方は、相変わらずの澄ました様子だけれど……あれ?
「うわっ。大丈夫かよ、水谷」
「ああ、ごめん。ちょっと、ぼうっとしていて……」
今、なにもないところで、転んでいたような。
じゃんけんでチーム分けをして、さっそく一試合目。
私の出番は、二試合目だ。
「「天堂くーん!! がんばってぇーっ!!」」
「「鏡見さーーん! ファイト―っ!!」
一組チームには、ルカ王子。
二組チームには、ありさ姫。
それぞれのクラスを代表する、まばゆいばかりの美少年と美少女が集結し、応援隊の熱気も最高潮に!
すごい、しょっぱなからクライマックスのテンションだ!
あっ。よく見たら、二組チームには水谷くんもいるみたい。
「よーい……」
ピーーーッ! という先生の笛の音とともに試合開始!
だけど、始まったとたん、ルカの独壇場~っ!?
陣地内を、風のように動きまわる!
ある時は、驚異の瞬発力で、相手チームのボールをキャッチ!
からの~~、そのまま二組チームを二人連続で仕留めちゃった!
「きゃーーっ! 天堂くん、かっこよすぎ~~!」
その後も圧倒的なボールさばきで、二組チームを次々と外野送りにしていくルカに、女の子たちの黄色い悲鳴もとまらな~い。
「やべーぞ。早く天堂をつぶさねーと、あっというまに負けちまうっ」
二組チームは、早くも大ピンチだ。
っていうか、ルカ、さすがに大人げなくない!?
人間相手なんだから、もうちょっと手加減してよ!
【うるさいな。ボクにも考えがあるの!】
考え?
もう一度、コート内のメンバーに視線をやったら……あっ!
数少ない二組チームの内野には、ありさちゃんと水谷くんが残っていた。
もしかして……ルカは、あえてあの二人を残すようにボールを投げていた?
「さーて。次は、誰を仕留めようかなぁ」
ボールを手にかまえ、余裕しゃくしゃくの笑みをたたえるルカは、軍神アレスさまのごとし気迫。リアル鬼神がここにいるよ!
今までルカの投げた球は、百発百中だ。
二組内の数少ない生き残りメンバーに、緊張の色が走る。
「次は……キミに決めた」
ルカがぴしゃりと指さしたのは――なんと、ありさちゃん!?
ありさちゃんがハッと息をのみ、ルカが大きくかぶる。
その手から、鬼のごとき魔球が、ありさちゃんめがけて放たれた!
逃げようとかまえたありさちゃんも、その手加減容赦なしボールに蒼白になって、一歩も動けないっ。
ああっ!
あのボール、今までとは比べものにもならないほど、速い!
当たったら、洒落にならないぐらい、痛そうッ。
あんなに細っこい身体で受けとめたら折れちゃうよ。
見ているのも怖くなって、とっさに、目をつむる。
そうしたら、視界をとじた暗闇の中で、今まで聞いたこともないほど焦ったような水谷くんの声が響き渡ったんだ。
「ありさっっ!」
バシュンッ!
「俊!?」
あれ……?
恐る恐る、目を見開けば。
「いったたた……。あはは……情けないね。慣れないこと、するもんじゃないや」
「俊っ。俊っ。ねえっ、大丈夫……!?」
荒い息をつきながらうずくまる水谷くんの傍に、今にも泣きそうな顔をしたありさちゃんがよろよろと膝をついている。
水谷くんが、ありさちゃんを庇って、ルカの鬼ボールを受け止めたんだ!
顔の近くでボールを受け止めてしまったのか、コート内に投げ出されたメガネにはヒビが入ってしまっている。
しーんと、体育館全体が水を打ったように、静まりかえった。
誰もがカタズをのんで二人の様子を見守っていたら、体育館内に、派手な笛の音が響きわたった。
「一時試合中止―っ! 水谷くん、大丈夫!? 誰か、保健室まで彼を連れていってあげて!」
ありさちゃんは、だらりと垂れ下がった水谷くんの腕を肩にまわし、張りつめた表情で体育館を出ていった。
二人が体育館をしずしずと出ていったあと。
みんなの時が、再び、動き出す。
「ねえ。さっきの鏡見さん、メガネのこと、名前で呼んでたよね……?」
「ねっ! てかさ、はじめて素顔見えたけど、メガネくん結構イケてなかったぁ~!?」
「ウソ、見ておけばよかった! それにしても、さっきの鏡見さんの剣幕すごかったよね。二人って、もしかして……そーゆー関係?」
話題は、今しがた、去っていった二人のことで大盛り上がり。
今さっき、ルカが人間ではありえない超絶剛速球を放ったことも、うまいこと忘れちゃってるみたい……。
これって、もしかして。
コート内で、穏やかな笑みを浮かべている、ルカに視線をやったら。
【お姫さまをピンチに追いこんでヒーロー演出作戦大成功、ってところかな。ちなみに、大事には至らないように、力の加減は調節しておいたよ】
ぱちりと星がまたたきそうなウィンクを返されて、ドキッと体温が上がる。
そっか。
これもキューピット作戦の一環だったんだ!
まさか、ルカがここまで全面的に協力してくれるなんて!!
嬉しいなぁ。
そうと実感したら、心の内側から、喜びがいっぱいにみちてきて。
思わず、満面の笑みになっちゃった。