ドSキューピットさまと恋のお手伝い!
4話 大人の階段の第一歩、のぼっちゃいまーーんんん?
図書室で、天堂くんと思いがけず会話をした翌日の放課後。
「きゃーーっ! 天堂くんが、うちのクラスをのぞいてるんだけど~~!」
「やばーい、今日もチョーかっこいい~~! でも、いったい誰に用事!?」
えっ!
天堂くんが来てるの!?
「ねえ。天堂くん、奈々の方を見ていない?」
ありさちゃんの耳打ちに、教室のドアの方を振りかえったら。
天堂くんが、ためらいもせずに、一組の教室の中に入りこんでくるところだった。
目をまんまるにしていたら、彼はクラス中の注目を浴びながら、ポカンとしているわたしの目の前で足を止めた。
今日も、天堂くんは、さえぎるもののないお日さまのように美しい。
「やあ。昨日ぶりだね、大神さん」
へ……?
間抜けっぽく口を半開きにしていたら、彼は、あのきらきらスマイルで言ってのけたんだ。
「これから、ちょっといいかな? 二人きりになりたいんだ」
ふ、ふ、ふ、二人きり!?
ボフンッと、頭から湯気がたちのぼる。
「二人きりって、どーゆーこと!?」
「なんで、大神さんが、天堂さまに目ぇかけられてんの!?」
「天堂くんって、まさかの地味専!?」
教室のいたるところから噴火しはじめる、女子の絶叫。
っていうか、どさくさにまぎれて、けっこうヒドイことも言われてるんですけど!
「ここだと、落ち着いて話せないから」
天堂くんは、地獄から這いのぼってきたような女子の嘆きをものともせずに、わたしの手を勢いよくつかんだ。
ひゃあああっ!
お、お、お、男の子に、手を握られてる~~~!?
「いくよ!」
彼はニッコリすると、フリーズしているわたしの手を引いて、教室の外へと駆け出した。
大神奈々、突然、学園一のイケメン新入生こと天堂くんから華麗に連れ去られちゃいました!
って、どーゆーことおぉ!?!?
導かれるままに、廊下をつっきっていく間、全校生徒の注目の的!
天堂くんってば、と・に・か・く・目・立・つ!!
金髪に青い瞳のイケメンってだけで、輝く一等星並の存在感なのに!
そんな、きらきらMAX王子な彼が、堂々と女の子の手を引きながら走っているなんて、ナニゴト!? だもんね! しかも、その相手がわたしみたいな平々凡々女子だなんてなおさらだ~~!
天堂くんは、廊下の突き当たりまでやってくると、そのまま階段をのぼろうとした。
わたしたち一年生の教室は四階、この上は屋上だけど……。
「屋上に行くの? でも、屋上には行っちゃダメって先生が言っていたよね」
焦るわたしを完全にスルーして、階段をのぼっていく天堂くん。
そのまま、ついに屋上前までたどりついちゃった。
「どっちにしろ、カギがかかっていて入れないんじゃ……」
「大神さん、知ってた?」
「え?」
彼は、白い歯をこぼして、不敵に笑った。
「学校のルールってのはね、破るためにあるもんなんだよ」
「えええっ!?」
天堂くんが、カギがかかっている屋上のドアノブに手をかざす。
すると……なんと、あたりが急に光りだして、カチャリとカギがはずれる音がしたんだ。
って、えええええ!!
なに、いまの! どーゆーこと!?
どこからともなく、光が漏れ出してきたような……。
わたしの見間違い!?
「ほら。誰かに見つかる前に、はやく出て」
つっこむ隙すらあたえてもらえず、背中を押されて屋上へ。
雲ひとつない、澄みきった青空。
春らしく、あたたかいそよ風が吹きぬける。
「ふぅ。やっと、二人きりになれたね」
天堂くんが、わたしに向かって、無邪気に笑う。
正真正銘の、二人きりだ。
ドキドキドキドキ。
急に、全身の血液のめぐりが活発になりはじめる。
天堂くんの王子さまスマイルには、これまでのむちゃくちゃ展開を一気に頭から吹きとばしてしまうほどの、絶大な魅力があった。
このシチュエーション……。
もしかして、もしかすると……わたし、告白されちゃう?
まさかまさかの、図書室で一目惚れされちゃったとか!?
『ボクら、気が合うのかもね』
そういえば、意味深なセリフを言っていた気もするし。
あの時点で、今どきギリシャ神話に興味があるなんてロマンティックで素敵な子だな~! って見初められちゃってたとか!?
きゃあ~~っ。
胸の中で、絶賛、花火がドカンドカンと連発中!
ど、どどどど、どうしようっ!
「あ、あの。わたしにお話って、なあに?」
もじもじと頬を赤く染めながら、彼の瞳を見つめかえしたら。
天堂くんは、今日の空に負けないぐらい、晴れやかな笑顔を浮かべた。
「うん。大事な話なんだけど……」
こんなイケメン男子からの告白、一生分の幸福を使い果たしたって、もう二度とない! 大神奈々十二歳、『男の子とのお付き合い』という大人の階段の第一歩、のぼっちゃいまーー
「キミ、友達に彼氏がいるってウソをついているよね?」
「はい!! ……ん?」
ーーんんん?
こんなに美しい男の子が今日からわたしの彼氏!? と、宇宙の果てまで舞いあがっていた気持ちが、とたんに行き場をなくす。
およ……?
目の前の形の良い唇から放たれた言葉を、もう一度、脳内で再生してみる。
『キミ、友達に彼氏がいるってウソをついているよね?』
…………。
って、ひえええええ!?!?
「きゃーーっ! 天堂くんが、うちのクラスをのぞいてるんだけど~~!」
「やばーい、今日もチョーかっこいい~~! でも、いったい誰に用事!?」
えっ!
天堂くんが来てるの!?
「ねえ。天堂くん、奈々の方を見ていない?」
ありさちゃんの耳打ちに、教室のドアの方を振りかえったら。
天堂くんが、ためらいもせずに、一組の教室の中に入りこんでくるところだった。
目をまんまるにしていたら、彼はクラス中の注目を浴びながら、ポカンとしているわたしの目の前で足を止めた。
今日も、天堂くんは、さえぎるもののないお日さまのように美しい。
「やあ。昨日ぶりだね、大神さん」
へ……?
間抜けっぽく口を半開きにしていたら、彼は、あのきらきらスマイルで言ってのけたんだ。
「これから、ちょっといいかな? 二人きりになりたいんだ」
ふ、ふ、ふ、二人きり!?
ボフンッと、頭から湯気がたちのぼる。
「二人きりって、どーゆーこと!?」
「なんで、大神さんが、天堂さまに目ぇかけられてんの!?」
「天堂くんって、まさかの地味専!?」
教室のいたるところから噴火しはじめる、女子の絶叫。
っていうか、どさくさにまぎれて、けっこうヒドイことも言われてるんですけど!
「ここだと、落ち着いて話せないから」
天堂くんは、地獄から這いのぼってきたような女子の嘆きをものともせずに、わたしの手を勢いよくつかんだ。
ひゃあああっ!
お、お、お、男の子に、手を握られてる~~~!?
「いくよ!」
彼はニッコリすると、フリーズしているわたしの手を引いて、教室の外へと駆け出した。
大神奈々、突然、学園一のイケメン新入生こと天堂くんから華麗に連れ去られちゃいました!
って、どーゆーことおぉ!?!?
導かれるままに、廊下をつっきっていく間、全校生徒の注目の的!
天堂くんってば、と・に・か・く・目・立・つ!!
金髪に青い瞳のイケメンってだけで、輝く一等星並の存在感なのに!
そんな、きらきらMAX王子な彼が、堂々と女の子の手を引きながら走っているなんて、ナニゴト!? だもんね! しかも、その相手がわたしみたいな平々凡々女子だなんてなおさらだ~~!
天堂くんは、廊下の突き当たりまでやってくると、そのまま階段をのぼろうとした。
わたしたち一年生の教室は四階、この上は屋上だけど……。
「屋上に行くの? でも、屋上には行っちゃダメって先生が言っていたよね」
焦るわたしを完全にスルーして、階段をのぼっていく天堂くん。
そのまま、ついに屋上前までたどりついちゃった。
「どっちにしろ、カギがかかっていて入れないんじゃ……」
「大神さん、知ってた?」
「え?」
彼は、白い歯をこぼして、不敵に笑った。
「学校のルールってのはね、破るためにあるもんなんだよ」
「えええっ!?」
天堂くんが、カギがかかっている屋上のドアノブに手をかざす。
すると……なんと、あたりが急に光りだして、カチャリとカギがはずれる音がしたんだ。
って、えええええ!!
なに、いまの! どーゆーこと!?
どこからともなく、光が漏れ出してきたような……。
わたしの見間違い!?
「ほら。誰かに見つかる前に、はやく出て」
つっこむ隙すらあたえてもらえず、背中を押されて屋上へ。
雲ひとつない、澄みきった青空。
春らしく、あたたかいそよ風が吹きぬける。
「ふぅ。やっと、二人きりになれたね」
天堂くんが、わたしに向かって、無邪気に笑う。
正真正銘の、二人きりだ。
ドキドキドキドキ。
急に、全身の血液のめぐりが活発になりはじめる。
天堂くんの王子さまスマイルには、これまでのむちゃくちゃ展開を一気に頭から吹きとばしてしまうほどの、絶大な魅力があった。
このシチュエーション……。
もしかして、もしかすると……わたし、告白されちゃう?
まさかまさかの、図書室で一目惚れされちゃったとか!?
『ボクら、気が合うのかもね』
そういえば、意味深なセリフを言っていた気もするし。
あの時点で、今どきギリシャ神話に興味があるなんてロマンティックで素敵な子だな~! って見初められちゃってたとか!?
きゃあ~~っ。
胸の中で、絶賛、花火がドカンドカンと連発中!
ど、どどどど、どうしようっ!
「あ、あの。わたしにお話って、なあに?」
もじもじと頬を赤く染めながら、彼の瞳を見つめかえしたら。
天堂くんは、今日の空に負けないぐらい、晴れやかな笑顔を浮かべた。
「うん。大事な話なんだけど……」
こんなイケメン男子からの告白、一生分の幸福を使い果たしたって、もう二度とない! 大神奈々十二歳、『男の子とのお付き合い』という大人の階段の第一歩、のぼっちゃいまーー
「キミ、友達に彼氏がいるってウソをついているよね?」
「はい!! ……ん?」
ーーんんん?
こんなに美しい男の子が今日からわたしの彼氏!? と、宇宙の果てまで舞いあがっていた気持ちが、とたんに行き場をなくす。
およ……?
目の前の形の良い唇から放たれた言葉を、もう一度、脳内で再生してみる。
『キミ、友達に彼氏がいるってウソをついているよね?』
…………。
って、ひえええええ!?!?