男嫌いと噂の美人秘書はエリート副社長に一夜から始まる恋に落とされる。
「香坂さん。突然来てもらって、悪いね」
社長は簡単に言えば気のいいおじさんである。身なりにも気を遣っているらしく、『ダンディなおじさま』という言葉が似合う。
ただ、色々と思うことがあって独身を貫かれている。まぁ、その思うことというのは、一社員でしかない私にはわからないのだけれど。
「いえ、なにか、専務にお伝えすることがあるのでしょうか?」
このときの私は、専務の秘書だった。だから、専務に伝言でもあるのか……と思っていたのに。
「そういうわけじゃないよ。ただ、香坂さんにお願いがあるだけなんだ」
社長はゆるゆると首を横に振って、そう言う。
……お願い。見当もつかない。
「実は、今度兄の息子……私から見て甥っ子を本社に呼び戻そうと思うんだ」
「……甥っ子さん、ですか?」
「あぁ、そうだ。私は彼を後継者にしたいと思っていてね」
大きく頷いて、社長が真剣な眼差しのままそう言う。
社長の甥っ子さんについては、度々耳に挟んでいた。二十代後半で、大学卒業後は地方の支社を回っているとか、なんとか。
「正直、副社長である私の兄は役には立たなくてね。甥っ子のほうがよっぽど役に立つ」
「……まぁ、それは」
言葉は濁したけれど、それは間違いないと思う。
社長のお兄さん……現在の副社長は、研究にしか興味がないような人だ。
そのため、社長の立場を弟に譲ったという噂もあるくらい。
「だから、呼び戻すことにしたんだが。香坂さん。甥っ子を秘書としてサポートしてくれないだろうか?」
けど、その提案は予想外だった。
社長は簡単に言えば気のいいおじさんである。身なりにも気を遣っているらしく、『ダンディなおじさま』という言葉が似合う。
ただ、色々と思うことがあって独身を貫かれている。まぁ、その思うことというのは、一社員でしかない私にはわからないのだけれど。
「いえ、なにか、専務にお伝えすることがあるのでしょうか?」
このときの私は、専務の秘書だった。だから、専務に伝言でもあるのか……と思っていたのに。
「そういうわけじゃないよ。ただ、香坂さんにお願いがあるだけなんだ」
社長はゆるゆると首を横に振って、そう言う。
……お願い。見当もつかない。
「実は、今度兄の息子……私から見て甥っ子を本社に呼び戻そうと思うんだ」
「……甥っ子さん、ですか?」
「あぁ、そうだ。私は彼を後継者にしたいと思っていてね」
大きく頷いて、社長が真剣な眼差しのままそう言う。
社長の甥っ子さんについては、度々耳に挟んでいた。二十代後半で、大学卒業後は地方の支社を回っているとか、なんとか。
「正直、副社長である私の兄は役には立たなくてね。甥っ子のほうがよっぽど役に立つ」
「……まぁ、それは」
言葉は濁したけれど、それは間違いないと思う。
社長のお兄さん……現在の副社長は、研究にしか興味がないような人だ。
そのため、社長の立場を弟に譲ったという噂もあるくらい。
「だから、呼び戻すことにしたんだが。香坂さん。甥っ子を秘書としてサポートしてくれないだろうか?」
けど、その提案は予想外だった。