よあけとあさひ
「ていうか、そっちこそ。無事付き合ったみたいで? おめでと」
「……あ、ありがと」
「ほら、やっぱり言ったとおりだったでしょ? 時間の問題だって」
誇らしげに言うアスは、途中で恥ずかしくなったらしく小さくなった。
「と、とにかくっ。せっかく自由になったんだから、自分の人生楽しむのよ」
「アスもね。わたし、応援してるから。絶対よくなるって」
「アサに応援されなくても、ちゃんと元気になるから大丈夫よ」
「え、今……! いま、アサってはじめて呼んでくれた!?」
「な、なによっ。もう、ほんとにうるさいっ!」
顔を見合わせて、プッと吹きだした。しばらくふたりで笑い合う。
アスの顔を見つめると、同じように見つめ返された。
はじめは、絶対に仲良くなれないと思ってた。死ぬのがこわくない女の子なんじゃないかって、そんな勘違いをしていた。
でも本当は優しくて、寂しがりやで、ちょっとだけ素直になれないただの中学二年生の女の子だった。
「わたしね、アスに出会えてよかったよ」
「……あたしもよ」
ふふっと笑うアスに手を伸ばすと、ちゃんと握られた。前とは違う。
わたしは心の底から思った。
ーー大好きだよ、アス。