よあけとあさひ

 ひだまりルームに行くと、机にはたくさんのビーズが並んでいた。


「あ、アサちゃんきた!」

「いらっしゃい」


 ユウくんとアスが出迎えてくれる。

 ふたりとも、まだつくりださずに待ってくれているらしい。


 わたしが席につくと、ユウくんが「じゃあはじめるね」と言って器用な手つきでビーズを糸に通し始めた。わたしたちはそのあまりのはやさに言葉を失って、ただ見ているだけ。


「アスちゃん、なに色が好き?」

「こっちとこっち、どっちがいい?」

「アスちゃんにはこの色が似合いそうだから」


 そんなふうに言いながらつくるから、眉を寄せたアスが「ねぇ、それってあたし用につくってるの?」と言うと、ユウくんはあっさりうなずいた。


「そうだよ。ブレスレット、アスちゃんにあげたいから」

「なっ……そしたら、自分のがないでしょ」

「うーん、じゃあアスちゃんがつくってくれる?」


 ふっと笑ったその顔が、あまりにも大人っぽくて魅力的だったから。アスが言葉を失ってうつむき、ヨルくんは衝撃的なものを見るように目を大きく見開いていた。

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