よあけとあさひ
「すご……俺、あんなこと言えない」
わたしのほうを向いて、瞳を揺らすヨルくん。どことなく落ち込んでいるみたいだった。余裕たっぷりのユウくんを羨ましく思ったのかもしれない。
「ヨルくん、わたしたちもお互いのブレスレットつくろうよ」
ね?と首をかしげると、元気を取り戻したらしいヨルくんは「そうだな」と笑ってビーズを持った。
「ちょ、ちょっと! わたしたち"も"ってどういうことよ! あたし、一回もつくるなんて言ってないわよ」
「いいんだよ別につくってくれなくても。僕はアスちゃんに作りたいから作ってるだけで。僕のがなくてもいいんだよ」
「……かわいそうだから作ってあげる」
「よしっ! ありがとねアスちゃん」
すっかりユウくんのペースに乗せられてしまったアスは「やられた!」と悔しそうにしながらも、ブレスレットを作る気はあるみたいだった。
なぁんだ。やっぱり仲良しだね。
ヨルくんと顔を見合わせて思う。
ふたりが付き合う未来は────そんなに遠くないんじゃないかなって。