よあけとあさひ
*
夕方。
無事点滴を終えて、わたしはひとり、涼むためにヒミツのベランダへと来ていた。
ここなら、先生や看護婦さんたちの場所からちょうど見えなくなっている。
だから、唯一外の世界と触れることができる場所なんだ。
つらくなったとき、わたしはよくここにきていた。
治療がうまくいかないとき。痛かったとき。症状がつらくてしんどいとき。
死にたくないなって思ったとき。死ぬのが怖くなったとき。
だけど、最近はそんなことを考えなくなった。
どうせ考えたって人はいつか死ぬ。
生きたいって思うだけムダなんだ、って。
今日死んでしまったセミのように、もとから"生きられる時間"というのはそれぞれに決まっている。だから、それに抗おうとするのは、間違っているんだって。
そんなふうに勝手な解釈をして、いつからかわたしは、すべてを諦めるようになっていた。
夕方。
無事点滴を終えて、わたしはひとり、涼むためにヒミツのベランダへと来ていた。
ここなら、先生や看護婦さんたちの場所からちょうど見えなくなっている。
だから、唯一外の世界と触れることができる場所なんだ。
つらくなったとき、わたしはよくここにきていた。
治療がうまくいかないとき。痛かったとき。症状がつらくてしんどいとき。
死にたくないなって思ったとき。死ぬのが怖くなったとき。
だけど、最近はそんなことを考えなくなった。
どうせ考えたって人はいつか死ぬ。
生きたいって思うだけムダなんだ、って。
今日死んでしまったセミのように、もとから"生きられる時間"というのはそれぞれに決まっている。だから、それに抗おうとするのは、間違っているんだって。
そんなふうに勝手な解釈をして、いつからかわたしは、すべてを諦めるようになっていた。