よあけとあさひ
3. いつか外の世界へ
『……さわらないで!!』
病室に戻ってから、わたしはひとりで落ち込んでいた。いわゆる自己嫌悪ってヤツだ。
わたし、なんてサイテーなこと言っちゃったんだろう。ヨルくん、ぜったい傷ついてる。
男の子と話すことなんてめったにないから、緊張してしまって。急に腕を掴まれたからびっくりして。
いろいろと考えて、それからぶんぶんと首をふる。
「……ううん。そんなの言い訳だよ」
傷つけていい理由にはならない。
頭に浮かぶたくさんの言い訳を、何度もなんども振りはらう。
まさかあのヒミツのベランダを見つける人がいるなんて思わなかったから。
……ううん、これもだめ。
体調が悪かったから、イライラしてた?
……それはウソ。むしろいつもよりも調子がよかったもん。
「結局、こわがってただけだよね」
とん、とん。
自分の心に手を当てて、何度か軽く叩いてみる。
『仲良くしようぜ』
この言葉が、こわかっただけなんだ。
仲良くなるのがこわかっただけ。
ここは、いつ別れが来るか分からない場所だから。
仲良くなることに、臆病になってしまっただけなんだ。