よあけとあさひ
お手玉ってやってみると意外とむずかしい。
投げて、キャッチして。投げて、キャッチして。っていうのをすばやく繰り返さなきゃいけない。
どちらのほうが多い回数お手玉できるか、という勝負をした。
思いのほか白熱した戦いを繰り広げていたけれど、病室に戻る時間を知らせる音楽が鳴ったので、急いで片付けをする。
少し時間が伸びてしまって、六時半まではあと三分を切っていた。
「まずい、帰らなきゃ! アサちゃん、また明日ね」
「うん。マリちゃんまた明日。走らず、安全に帰るんだよ!」
「わかった!!」
はやあしで帰っていくマリちゃんの後ろ姿を見送って、わたしも急いで病室に戻った。
小説ノートがないことに気づいたのは、病室に戻って夜ご飯を食べたり、シャワーを浴びたりして、寝る準備を済ませたあとのこと。
どこにやったっけ……と考えて、そういえばマリちゃんとお手玉をしにいくときに慌てて持って行ったことを思いだす。
六時半を過ぎているから、ひだまりルームに取りにいくことはできず。
誰にも見つかりませんように。
そして、明日わたしにだけ見つかりますように。
ベッドの中でそう何度もお願いをしているところに、ノートは突然返ってきた。
「アサちゃん、これが届いてたわよ」