よあけとあさひ

「ううん。わたしもお母さんに頼んでみる。たぶん買ってくれると思う」



 わたしのお父さんとお母さんは、わたしがほしいと言ったものはできるかぎり買ってくれる。

 もともとわたしがあまりお願いをしないというのはあるけれど、それでもお父さんとお母さんの優しさだった。



「少し時間かかるけど、いい?」

「もちろん。いつまでも待つよ」

「ありがとう」




 ヨルくんは肩をゆらして笑った。


 あどけない表情を見ていると、またドクっと鼓動が鳴りそうで、あわてて手紙に視線を落とした。



 自分では紙切れでいいって言っておきながら、こんなに素敵な封筒を用意してくれたなんて。

 うれしいと同時に、どこかくすぐったい気持ちになる。




 封を切ろうとすると、ヨルくんに「ちょっと待って」と止められた。



「さ、さすがにここで読むのはやめろよ。はずかしいじゃん」

「あ、そっか。わかった。部屋で読むね」




 取り出しかけていた便箋をしまって、ヨルくんに返事をする。たしかに、書いた手紙を目の前で読まれるというのは恥ずかしいかもしれない。

 ……うん、けっこうはずかしい。



 少し考えて納得した私は、キュッと口を引き結んだ。


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