よあけとあさひ
3. とつぜんの知らせ
「俺の病室にはバスケットゴールがあるんだよ。ダンボールでつくったやつだけど」
ヨルくんと出会って二週間と少し。夏休みも半ばに入った今日は、太陽がさんさんと照りつけている。そんな中、ヨルくんはひだまりルームで自慢げに笑った。
そういえば、とわたしは思いだす。たしか、初めて会ったあの日、ヨルくんはバスケットボールを持ち出していて看護師さんに注意されていた。
「バスケ、好きなの?」
「ああ。俺、バスケ部だから」
「そうなんだ……!」
またひとつ、ヨルくんのことを知った。明るくて、常に笑顔を浮かべているヨルくん。バスケをしている姿も、きっとかっこいいんだろうな。
……って。なにを思ってるのわたし。
「小学生のときからバスケしてるんだ。将来は誰よりも強いバスケット選手になる!」
意気込むヨルくんを見つめた。
きっと、なれるよ。ヨルくんなら、なれる。
「アサは?」
「え?」
「なにか夢はないの? ほら、作家、とか」
わたしはぶんぶんと首を振って、ヨルくんの言葉を否定した。
「むりだよ! 作家なんて、なれるわけないよ」
「そんなの分かんないだろ。信じていないと叶うものも叶わないと思う」