よあけとあさひ
ヨルくんはどうしてそんなにまっすぐ前を向いていられるんだろう。
当たり前のように「未来」があると思えるのだろう。
ーーだって、わたしたちは、病気なのに。
治るかどうかもわからない。明日生きているのかも分からない。もしかすると今夜眠りについたら、それで命が終わってしまうかもしれない。
わたしは毎日そんな恐怖におびえながら過ごしているというのに。
ヨルくんのそれは、底抜けに明るいというよりは……楽観視に近いような気がする。
現実は、そんなに甘くない。わたしたちが思うほど楽じゃないし、誰もの命が救われるような本の中の世界とは全然違う。
そう。ある日、突然、仲良くしていた人が死んじゃうことだってあるんだから。
なにが起こるかなんて、分からない。
「アサは……諦めすぎな気がするよ」
たぶん、ヨルくんのその言葉がきっかけだった。ひどいことを言われて悲しかったわけじゃない。図星をつかれたから、悔しさと恥ずかしさが込み上げて、わたしは思わず声を上げていた。
「うるさいな……っ! わたしはヨルくんみたいに生きられないよ。強くないし、死ぬのがこわい。将来のことなんて考えられる余裕ないよ!」