よあけとあさひ
ヨルくんはとたんにムッとした表情になった。
「じゃあ、アサはなにを目指して生きてるんだよ。そんなふうにネガティブに考えてばかりだと、夢なんてできても叶わねーよ」
「ヨルくんはどうして前を向いていられるのか分からないよ。もう、わたしはここで苦しみながら亡くなっていく人を何人も見てるの。だから、できるかぎり友達もつくらないようにしていたの。離れるのがこわいから」
「俺はバスケット選手になるんだ。そのためにも早く復帰して学校でも活躍する。夢は信じていればいつか叶うんだよ」
活気よく話すヨルくんが、このときだけはイヤだった。どうして、どうして。なんでそんなふうにわたしとの違いを見せつけてくるの。
わたしはみじめだ。ヨルくんはすごい。でも、今はそのすごさが、うらめしい。
気がつけば、わたしの口は最低なことを告げていた。
「ーー病気なのに?」
その瞬間、ヨルくんの目からすうっと光が消えた。さっきまではわたしをまっすぐ見ながら笑っていた顔が真顔になって、目はそらされてしまった。
「あっ……今のは、ちがくて、」
「俺、アサにそういうことは言われたくなかった」
「ご、ごめっ……ヨルく……」