よあけとあさひ

「病院で運命的な出会いとかあるわけないじゃん」

「分かんないよ? ちょータイプの男の子と出会えるかも」

「嬉しくないよ。だってここに来るってことは病気ってことじゃん。タイプの男の子には元気でいてほしいよ」



 わたしの言葉に「それもそうね」と納得したように言ったカスミさんは、「じゃあ行くわね」と告げて病室を出ていった。


 病室がしんと静まり返る。




 同室には"アス"と呼ばれる女の子がいるけれど、一度も話したことがない。今だって、まるでいないかのように静かだ。

 寝てる……わけでもなさそうだけど。
 カーテンによって(へだ)てられているから分からない。



 わたしは仕方なく【ひだまりルーム】に向かうことにした。

 こんな静かな場所で、息をひそめてアスと二人きりなんて、たえられない。
 そう思ったから。
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