よあけとあさひ
【ひだまりルーム】は、入院している人たちのふれあいの場で、比較的自由に遊ぶことができる。
ひだまりルームに着くと、
「あ! アサちゃんだ!」
という声と一緒に小学生の女の子が走ってきた。見回りをしていた看護師さんに「マリちゃん、走らないよ」と注意されている。
「マリちゃん、おはよう」
「もうお昼だけどね! へへっ、ねぼすけアサちゃん、おはよっ」
「ねぼすけじゃないしー」
唇を尖らせていると「あっちでお絵描きしよ!」とマリちゃんがわたしの腕を引っ張った。
ううっ、けっこう強い。
小学二年生の力、バカにはできない。
「いいよ、お絵描きしよっか」
マリちゃんは、わたしが唯一この病院で仲良くしているお友達だった。
出会ってはじめのほうはわたしが一方的に距離をとっていたけれど、マリちゃんの無邪気さと可愛さに完敗してしまった。
それ以来、こうして時間が空けば遊んでいる。
「今日も対決しよ!」
「お題は何にするの?」
「好きなお花!」
「それこの前もやらなかった?」
手を引かれるがまま、テーブルスペースへとついていく。
そのときだった。