よあけとあさひ
カードの裏には、アフリカンマリーゴールドの花言葉が書かれていた。
わたしは、もう一度花言葉をまじまじと見つめる。
マリちゃんへの申し訳なさと、みじめさと、やるせなさが混ざり合って、自分への大きな怒りになる。ぼろぼろと涙が溢れた。
「マリちゃん……! わたし、サイテーなことした! マリちゃん、ごめん……!!」
マリちゃんが毎度わたしにアフリカンマリーゴールドを贈ってくれた理由。
それは、この花言葉をわたしに届けるためだったんだ。
それなのに、わたし。最低な態度をとった。
マリちゃんと最悪な別れ方をしてしまった。
マリちゃんのかわりに、最低なわたしが死んじゃえばよかったのに。
そんなことを思いながら、わたしはいたたまれない気持ちで、ぎゅっと花束を抱えた。
花言葉が書かれているカードが、花の隙間から見える。
ずっと一緒に過ごしてきた、大事な子からもらった花言葉は、今、わたしの胸をもっともっと苦しめる。
背中を撫でながら、カスミさんが耳元で言う。
「アサちゃんはなにも悪くないのよ。これは全部、神様が悪いの。世界が、悪いの」
芯があって力強いはずなのに、カスミさんの声はどこか、震えていた。