よあけとあさひ

2. 知らなかった本音


「わたしが、わたしが、ブレスレットつくってあげなかったから……!!」


 カスミさんが病室を出ていってからも、わたしはずっとずっと泣いていた。もしも過去に戻ってやりなおせるとしたら。そうしたら、今度こそマリちゃんともっとたくさん遊ぶし、ブレスレットづくりにも付き合ってあげるのに。

 どんなになげいても、マリちゃんはもう戻ってこない。

 そんなの、ひどすぎるよ。どうして神様はこんなにひどいことをするんだろう。

 ただでさえ病気で長く生きられないかもしれないのに、唯一の友達までわたしから奪うなんて。



 病室では、アフリカンマリーゴールドが窓から差し込む太陽の光を受けて、キラキラ輝いていた。



 逆境を乗り越えて生きる。
 立派に、力強く咲いている花を見つめながら、ため息をついた。


 わたしは、病気という逆境を前にして、乗り越えるような強さも、自分を信じ続けて前に進む勇気も、なにも持っていない。


 ヨルくんに会いたい。
 この前ケンカしたのに、それでもヨルくんに会いたい。


 ヨルくんは、わたしになんて言ってくれるかな。どんな言葉で励ましてくれるんだろう。



「会いたいな……」



 ぽつりと、ベッドの上でつぶやいたその時だった。

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