よあけとあさひ
俺は、この気持ちの名前を、たぶん知っている。
だけど、もし、アサが俺と同じ気持ちじゃなかったとしたら。
もし、病気に侵されて、二人の未来がなくなってしまったとしたら。
考えれば考えるほど弱気になって、いつもの俺じゃなくなってしまう。
だって、もしこの気持ちが俺だけのものだったとして、どうしても捨てなきゃいけなくなったとしたら。
そしたら、このキモチのゆくえは?
俺はアサが思っているほど強いやつじゃないし、平気に見せるのも毎日必死なくらいだ。
「……弱いな、俺」
俺はひとりつぶやいて、弱気な自分から目を逸らすように、アサからもらった封筒をあけた。
封筒と同じ、星空の便箋がきれいだ。
便箋には少しまるっこいアサの字がたくさん並んでいた。