よあけとあさひ
4.キミとの恋
1. 新たな出会い
今日から、また新しい子が病院にやってきた。そんなウワサがすぐに伝わってきたのは、七月も終わりのとある日。
「……気の毒ね」
となりのベッドで、アスが小さくつぶやいた。アスはこの前の一件以来、弱い自分をみられてしまって吹っ切れたのか、わたしにもたまに話しかけてくるようになった。
プライドが崩れてしまった、と本人は言っているけれど、わたしとしてはお友達が増えてけっこう嬉しかったりする。
「どんな子かな」
わたしが言うと、アスは興味ないと言いたげに目を閉じた。
「さぁね。あたしには関係ないもの」
「そんなの分からないよ? ここではみんなが仲間だって、ヨルくん言ってたもん」
「ヨルくん、ねぇ」
みんなが仲間。だから他人事じゃないよ。
ヨルくんは前わたしにそう言ってくれた。それからわたしは、できるだけたくさんの子に話しかけるようになった。前はマリちゃんだけだったけれど、思いきって話しかけてみると他の子もみんなわたしに優しくしてくれる。
そんなことをのんびり考えているわたしに、アスからとある爆弾が落とされた。
「あなたその"ヨルくん"と付き合ってるわけ?」
「な、なななななんでそんな話になるの!?」
「別にあたしはいいと思うけど? わざわざ隠す必要ないし」
「隠してもないし、付き合ってないし!!」
び、びっくりした……。
はぁ、はぁと息を整える。