よあけとあさひ

 いったいどうしてそんな話になるんだろう。


「付き合ってないの? まぁ、これも時間の問題だと思うけどね」


 さら、と髪を手ではらうアスは、とても大人っぽく見えた。


……そんなことよりも。


「付き合うって、好きな人同士じゃん。わたしとヨルくんがその……つ、付き合うって、ありえないよ」

「……ふーん、そうなの」



 興味なさげにぼやいたアスは、窓の外をながめながら言った。



「"ヨルくん"はあなたのこと好きだと思うけどね」

「な、ないないないありえないよっ」

「どっちもわかりやすいほうだと思うんだけど」



 呆れたようにため息をついて、アスは「あたしトイレ」と病室から出ていった。

 ひとり取り残されたわたしは、今にも蒸発してしまいそうなほおに手を当てて、なんとか冷まそうと必死になる。


「あっつ……」



 しばらくしても、熱はなかなか冷めなかった。
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