よあけとあさひ

「仲良くしてね、ヨルくん」

「……お、おう」

「そんなにこわい顔しないで。アサちゃんのことはとったりしないからさ」

「わ、わかってるよ!」

「たぶん、ね」


 にやっと笑ったユウくんに「はぁ!?」と声をあげてヨルくんが詰め寄る。ユウくんは余裕たっぷりに笑って「冗談だよ」と言った。

 本当に中学三年生?と疑いたくなるほど大人っぽすぎる表情に、少しどきりとした。
 さっき出会ってからずっとニコニコと笑っているから、こんな大人びたふうに笑えるなんて、ギャップだ。



「じゃ、そういうことでね」



 わたしたちに背を向けて去っていくユウくんは、むこうを向いたまますっと手を挙げた。そのまま振り返ることなく何度かひらひらと手を振って、角に姿を消す。

 犬みたいな人懐っこさを持っているのに、猫のような気まぐれな部分があるから、ユウくんは不思議な人だ。


 新たにやってきた犬のようで猫っぽい彼は、わたしたちに新しい風を吹かせてくれる存在となる。

ーーなによりも、アスに。

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