よあけとあさひ
*

 一週間後、ドナーが見つかったことは、ヨルくんには手紙で知らせた。

 なんだか直接言うのがこわくて、文字にのせることを選んだ。それなのに、ヨルくんはわざわざわたしに会いに来てくれたのだ。


『よかったな、アサ』


 いっぱいいっぱい抱きしめてくれた。頭を撫でて、名前を呼んでくれた。

 そして、会うたびに恒例になった手紙交換。最初に買ってもらったレターセットがなくなって、お母さんに新しいものを買ってもらった。
 何通も何通も、わたしたちは確かにここでやりとりしている。


「俺、虹かけ祭りが楽しみすぎて待ちきれない」

「わたしも待ちきれない」



 ヨルくんはわたしに会うたび、そんなことを言っては笑っていた。わたしだけが楽しみにしているわけじゃないんだって安心できる。ほっと息をついた。



「今日も手紙書いてきたんだ」


 思い出したようにヨルくんがわたしに手紙を差し出す。「ありがとう」とお礼を言って受け取った。



「いつもの合言葉、ちゃんと書いたから」

「ふふ、約束ね」



 目を合わせて笑い合う。
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