よあけとあさひ

「大好きだよ、ヨルくん。わたし、明日手術がんばるから。だから待っててくれるとうれしい」

「当たり前だろ。ずっと待ってるよ、アサのこと。もうウザいって思われても、嫌われても、俺はアサのそばにいるから」

「ウザいなんて思うわけないし、嫌うはずないよ」

「結構しつこいと思う、俺」

「しつこいのはわたしのほうだと思うよ」



 だって、大好きなんだもの。
 離れたくないよ。できることなら、ふたりとも元気になって、外の世界に出たいよ。

 それで、一緒に夜明けをむかえて朝日を見るんだ。


 何度も交わした約束を、いつかふたりで叶えるの。



「……あ」



 ふとヨルくんが別の方向を向いて、声を上げた。


「え?」


 わたしも気になってその視線をたどると。
 そこにいたのは、アスとユウくんだった。


 手はつないでいないけれど、とても近い距離で肩を並べて歩いている。

 アスは向こうを向いているから表情が見えないけれど、ユウくんはとても大切そうなまなざしでアスのことを見つめていた。


「あのふたり……付き合ってんのかな」

「つ、つきっ……」

「俺たちみたいに、付き合ってるのかな」


 あ、ぜったいわざとだ。"付き合ってる"という単語にわたしが反応するのを知っていながら、わざとくり返してるんだ。
 ムッとしながらヨルくんを見ると、案の定ヨルくんは笑っていた。悪戯っぽく、くちびるの片端をあげている。
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