よあけとあさひ
「わたしたちって……付き合ってるんだ」
「当たり前だろ。好き同士なんだから」
「カレシとカノジョってこと……?」
「そう。カレシとカノジョってやつ」
「ヨルくんが、わたしのカレシ……」
「アサが、俺のカノジョ」
何度もくりかえしているうちに、ヨルくんがぷっと吹きだす。つられてわたしも笑ってしまった。
しあわせな気持ちで胸がいっぱいだ。
そんなことを話しているうちに、気づけばアスとユウくんは姿を消していた。
「ユウくんの恋、うまくいってるといいね」
「そうだな」
この前とは違って、余裕たっぷりのヨルくんは、深くうなずいている。今は純粋にユウくんの恋愛成就を祈っているらしい。
遠くの方には、車いすで移動するおじいちゃんとそれを押している中学生くらいの女の子がいた。お孫さんなのかもしれない。
その他にも、カップルのように見える人、仲良しの友達と歩いている人、マリちゃんくらいの年齢の子など。さまざまな人たちがこのお祭りを楽しんでいた。
誰かが幸せそうに笑っているところは、見ているだけで嬉しくなる。
「いちご飴、食べよう」
ヨルくんがそう言って、いちご飴に口を近づけたときだった。
わたしは知っていたはずだった。
幸せがこわれるのは、いつも、突然だということを。