よあけとあさひ
急に視界がぐにゃんと歪んで、激しい痛みが胸のあたりをおそった。今までの発作とは、ちがう。
何かが決定的にちがう。
「っ、はぁ……!」
手に持っていたいちご飴が地面に落ちる。視界がだんだん暗くなっていく。
あ、こわい。わたし、このまま落ちていくのかな。
暗くて静かで、冷たい場所に。
もう、ヨルくんには会えないのかな。好きな人と両思いになったから、その代わりにこの命はなくなってしまうのかな。
「さ……! あ、さ……!!」
ヨルくんが叫んでいるのが視界にうつるけれど、声はもう聞こえなかった。
ただ、地面に倒れ込もうとしたわたしを、力強くて、それでいて優しい手が受け止めてくれたような気がして。
ヨルくんの顔で視界がいっぱいのなか────
ーーーーわたしの意識は途切れた。