弟は離れることを、ゆるさない
「まあ、いるにはいる」
「そっか。葵はすぐ両想いになれるよ。だって葵カッコイイし、根は優しいもん」
「カッコよくて優しいからって、絶対付き合えるわけじゃねぇだろ」
「付き合えるよ!葵を振る女の子がいたら説教しに行くくらい、私は葵を自信もってオススメできる!」
「じゃあおまえは付き合えんのかよ」
「…………え?」
「俺のカノジョになれんの?」
真剣な眼差しで私を見つめる葵。
あの夢と同じ表情をしていて、あのことが頭に過った。
動揺したらダメ。
葵は何気なく聞いているだけだ。
「あたりまえじゃん。家族じゃなかったら私も葵のこと好きになってるよ」
平然を装ってそう返すと、葵はイスから立ち上がり二階へ上がってしまった。
数分後、部屋着だった服装は制服へと着替えられており、手には鞄を持っていることから、葵が今から学校へ行くんだということが分かった。