弟は離れることを、ゆるさない


あれから葵と話すことができないまま、合コン当日を迎えた。


集合時間はお昼の一時。
女子組は駅前で待ち合わせて、近くのカラオケへと向かうことになっている。


朝の八時に目覚めた私は、まだ二階の自室で眠っている葵を起こさないように静かに準備をする。


今日のために急遽お小遣いで買った黒色のワイドTシャツに白色のロングスカートに着替える。合わせて、黒色のお洒落なサンダルに、白色のリングショルダーバッグも準備をする。


化粧道具を取り出し洗面台で化粧をしていると、背後から「出かけんの?」と、寝起きの葵の声が聞こえた。


振り返ると、大きく欠伸をしながらお尻をボリボリとかいているその姿は、まさに高校生男子とは思えない。


理由は何であれ、話しかけてくれたことに感動し、頷く。


「うん、紗絵達とカラオケ」

「ふーん、見ない服だけど、そんなん持ってたっけ」

「今日のためにお小遣いで買ったの」

「へぇ、ずいぶん気合い入ってんだな」

「うん。今日は男の子もいるから」

「…………は?」


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