弟は離れることを、ゆるさない


…………え?


『男の子もいる』と言うと途端に葵の様子が変わった。怖い顔をして私に近づいてくる。


「……なんで男もいるんだよ」

「なんでって、合コンだから……」

「合コンなんてするような年齢でもねぇだろ」

「でもカレシほしいし」

「カレシできて何がしたいんだよ。この白い肌で男誘ってキスでもされてぇの?」

「――ち、ちが……っ」


私の首を掴み顔を埋めた葵は、そのまま舌で首筋をなぞる。


何してんの、葵……
私のことが嫌いなくせに何考えてんの……


「痛……っ」


ちくりとした痛みが首筋に感じる。葵は満足した様子で私に視線を落とした。


「葵、何したの……」

「イラついたから噛んだだけ」

「なにそれ。前から思ってたんだけど、そういうのやめた方がいいよ。女の子抱く時も、目とか耳とか口とか全部塞いで……そういうの、女の子にしてみたら怖いよ」


負けじと言い返すと葵はまた、顔を強張らせた。


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