弟は離れることを、ゆるさない
「でも、喋れるだけ羨ましいよ。私は弟ともう三年近く話してないよ」
「仕方ないよ、弟くん、あの一年の皇くんでしょ!?人気すぎるから琴音と話してる時間ないんじゃない?」
「でも家の中だよ?夜もだよ?人気だからを理由に話してくれないのって変じゃない?」
「むしろ話さないほうがちょうどいいって。琴音はちょっとブラコンすぎるよ!?」
三年も話せていないから、話したいから、紗絵に相談しているというのに。
私のことを「ブラコン」で片付ける紗絵に納得いかない。
葵は私と違う高校に行くと思っていた。
けれど、私と同じ高校を受験して合格をした。
髪をシルバーに染めていても、ピアスを開けていても何も言われない、ゆるゆるな校則のおかげで見た目は治安が悪そうな男子系に染まった弟。
校則が緩いからうちの高校に行くことを決めたんだろう。
葵が私と同じ高校を選んだのは、ただ、それだけ。